真昼の行進
「え?生徒会メンバーに突撃取材?ええ、どうしよう、あたし会長に怒られるのだけは絶対イヤなんだけど・・・あ、スザク君の話なんですか?特集?ふうん、スゴイ。ならいいのかな、うん、ちょっとくらいなら大丈夫かも。でもスザク君についてなら、あたしよりものほうがずっとよく知ってると思いますよ。ん?だってスザク君、にゾッコンですもん。ゾッコン、て言い方古いのかな。ええ、そりゃもう、毎朝一緒に登校してるのはもちろんだけど、休み時間中だって片時も側を離れないんですよ!あの二人が別々に行動してるのって見たことないなあ・・・。座席だって、いつの間にかの隣の席、スザク君になってて。・・・ここだけの話ですけど、なにか手を使ってあそこを自分の席にしたんじゃないか、って噂もあるくらいなんですよね。だってスザク君とルル、幼なじみだし。えっ、べ、べつにルルが普段からそんな、悪知恵ばっかり働かせてるなんて言ってませんよ?・・・チェ、チェス?なんのことだか、あたしにはさっぱり。あああっと、ごめんなさい、あたし部活行かなくっちゃ。失礼しますっ!」
「わ、と、なんだよ新聞部?俺忙しいんだけどなあ、ん、ちょっと会長に頼まれてることがあってさ。力仕事はスザクのオハコだってのに、肝心なときにいないんだからなあ・・・ああいや、さっきまでいたんだけど、を職員室まで迎えに行っちゃって。ほんっとのことになると見境なくなるんだよ、アイツ。毎日毎日一緒に登校してくるしさあ、あ、なんだ、それは聞いたの?ってかスザクの取材なの?なんで?・・・特集?えええ、スザクのぉ?そんなおもしろい記事なんか書けないと思うけどなあ、だって最近のアイツなんかもうそれこそのことばっかりだぜ?うん、そう、まだ付き合いはじめだし。アイツら幼なじみなんだけどさ、スザクは昔っからのこと好きだったみたいで・・・うん、ルルーシュとも幼なじみだよ。ルルーシュと、イトコだから。それで小さい頃から仲が良かったんだってさ。あの過保護っぷりもその頃かららしいんだけど、俺アイツら見てるとさ、恋人同士っていうよりは、なんていうのかな、うーん・・・・・・主人と召使?に見える。見てれば分かるよ、いやでも。っと、やべ、マジで仕事片付けなきゃ。じゃーな、取材がんばれよ〜」
「え?スザクと?まだ戻ってきてないわよ。うん、お遣い頼んでてね、ホントはになんだけど、スザクもそれ聞いてついてっちゃってさあ。ほーんと大好きなのよねえ、のこと。そうそう、最近やっと両思いになったんだけどね、もうそれがじれったくって!ルルーシュに聞いたら、スザクのほうは年齢イコール片思い暦、て感じだったらしいんだけど、がねえ・・・。うーん、なんていうのかしら、決してスザクのこと嫌いだったわけじゃないし、幼なじみとしてずっと好きだったけど、恋愛にはなかなか発展しなくってね。でもほだされたっていうの?そりゃあ、あんなに自分に忠誠心丸出しでいられたら誰だって悪い気はしないんじゃない?スゴイわよお、ほら、日本の昔話?にもあるじゃない、忠犬ナントカっていう犬の話。主人の帰りをずっと待ってるとか。まさにあれかしらね、あの二人は。うらやましいなあ、あたしも自分の手足となって動いてくれる犬がほしいわ。・・・なによ、その目。そういえばウチのメンバーにいろいろ聞いて回ってるらしいじゃない。あたし許可出した覚え、ないんだけどなあ。来期の予算編成楽しみにしてるのね、・・・ってこら!逃げるな!あっ、リヴァル、あいつらちょっと捕まえて!え?なに?仕方ないでしょう、スザクがいないんだから!」
「うわっ、なんだそんなに息を切らして。・・・新聞部?悪いが俺は今忙しいんだ、何かと立て込んでいるから、・・・スザク?ならなおさら、本人に聞いたら良いだろう。・・・見つからない?ああ、を追いかけていったのか、相変わらずだな。・・・よく知ってるな。ああ、確かには俺の身内だ。それでスザクとも昔から知り合いで。いや、最初はそうでもなかったよ。俺もしばらくはアイツがを好きだなんて気が付かなかったくらいだから。スザクは良い奴ではあったが、昔はもっと乱暴だったんだ。ガサツというか。だからはどちらかというと怖がっていて、・・・と、すまないがこれはスザクには言わないでくれ、未だにそのことで落ち込むんだ。今になって思えば、スザクのああいう態度も好意の裏返しだったわけだが。・・・そうだな、その反動だな、今のアイツは。忠犬?誰だそんな言い方をしたのは、・・・ああ、会長か。まあ、そんな言い方がしっくりくる関係ではあるかな。もともとスザクはあいつの騎、・・・いや、側に居たがっていたんだし。多少スザクは行きすぎなところもあるが、がそれを受け入れているんだから問題ないだろう。ん?ロロ、どうした?・・・また会長か、わかった、すぐに行く。悪いけど、俺はこれで」
「すみません、割り込んだりして。スザクさんですか?さっき見ましたよ、中庭のほうで。え?いえ、一人でしたけど」
「は、どうも。新聞部?なにか僕に・・・と、特集?そんな、特集なんて組めるほどのものは持ってないですよ!時間?まあ・・・少しはありますけど・・・いえ、人を待ってるので。・・・。え、や、ええと、か、かのじょって言うのかな、いや、ははは・・・っええ!?どうしての名前を!あ、なんだ、みんなから聞いたんですか。おしゃべりだなあ。え?イトコ?はルルーシュのいも・・・あ、そうだった、はい、イトコです。イトコですよ、うん。そうですね、いつも一緒です。今、は・・・その、ついてこないで、て言われました・・・。ケンカじゃないです!ケンカじゃなくて、わたしの仕事だからスザクはついてこなくて平気、って・・・。僕は一秒だって離れたくないんですけど、はちょっと照れ屋なんですよね。そこがかわいいんですけど。はい、大好きです、昔っから。いえ、昔は僕、なんていうか、素直じゃなくて。そのせいでにも誤解されてたって分かって、今ではちゃんと言葉にするようにしてます。そうですか?恥ずかしくなんかないですよ、本当のことですから。も喜んでくれてます!・・・たぶん。はい、たぶん。・・・遅いなあ、もしかしてなにかあったんじゃ・・・へ?ええっ、犬!?誰がそんなこと、・・・ああ、会長ですか。ルルーシュも?まあ、ルルーシュが言うならそうなのかな。忠誠っていう意味では間違ってないです。僕ずっとの騎士になりたかったんで・・・ああ、いや、こっちの話です。ん?あ!だ!すみません、終わりでいいですか?あと特集はできればその、ナシにしてもらえたら・・・だっての話もたくさん出ますよね?には僕だけのでいてほしいんで、そういうことでお願いします。おーい、!」
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(2008.10.7)